川端裕人さんの「みんなのPTAを探して」(「婦人公論」連載:2007/4〜2008/3)のバックナンバーを「ブログ版」として公開しています。(著者公認)
 はじめていらっしゃった方は、まずは著者本人の「ごあいさつ」をお読みください。
管理人:Pさん
 

2008年01月13日

第9回 寄せられたお便りをDJ・ヒロが紹介!


本家関連エントリー
 PTA連載、今回はお便り紹介です (2007.8.9)
 婦人公論連載のPDF版。9回めと10回めを一挙公開 (2008.1.11)


 「疑問に思います。こんなにみんながやりたがらないPTA活動って何なのでしょう?」
 いやあ、みなさん、苦労されてます。ほんと、どうすりゃいいんだ。


■ 夜に歓送迎会! 会費は自腹!


 さて、2週に1度の「みんなのPTAを探して」の時間。きょうは趣向を変えて、読者のみなさんから寄せられた手紙を紹介してみようか。せっかくだから、iTunesで音楽でもかけながらね。

 最初の曲は、『PTA〜光のネットワーク〜』。奥田民生ユニコーン時代に歌っていたやつね。これ、いい曲なんだよねえ。胸にしみる。

 で、目の前には、みなさまからいただいた手紙やメールの束があるわけです。読んでます。読んでいますとも。中には涙なしには読めないものもあれば、大笑いさせてもらえるものも。

 でもさー、みなさん、一言で言って、愚痴が多いぞー。

 いえいえ、それが悪いってわけじゃなくて……その気持ちよくわかる。ぼくだって、愚痴のひとつやふたつ、しょっちゅう言ってる。だから、今回は徹底的に愚痴を聞いちゃおう。

 まずは、京都市のRさん。役員を務める友人ママに、やってくれない? と頼まれて、「子どもが低学年のうちにやっておけば……」と考え、ついオーケーしてしまったのね。

 うんうん、わかる。低学年のうちにやっておけば……という気持ちで、役員や委員を引き受ける人って多いんだ。そして、それは決して間違いじゃない。そのことでPTAに目覚めて、何度も役員をしちゃうような人もいるわけだし。

 でもさ、Rさんは、ちょっとしたカルチャーショックに出会っちゃったみたいなんだよね。

――さっそく「歓送迎会」で疑問が……。会費3000円自腹、夜の集まりなので、子連れ参加NG。えっっ??? 自腹っすか? 歓迎会なんじゃぁ……いやいやこの際、3000円の自腹は自分の飲み食いなんだし仕方あるまい。

――しかし、子どもどこに預けたんだ? 子どもありきのPTAでこれはちょっと……(中略)……今度は校長先生の退職に伴いホテルで送迎会! もちろん子連れはNG、自腹なんと1万円! オーマイゴッド! 私の神様! 私の選択は間違っていたんでしょうか?? これには新人役員もドン引きです。

 うーん、なるほどー。

 自腹もきついし、夜預けるのもきついよね。Rさんは、「自腹当然、『子連れNGなお集まりあり』なPTAってうちだけ?」という疑問を投げかけているんだけど、ぼく自身の経験では、歓送迎会と名のつくものはやはり自腹が多いよ。自分のお腹に入る飲食代とはいえ、それが続くと、さすがに困るよね。それよりも、夜の集まりは、現役子育て世代としては、本当にきつい。子どもが低学年くらいだと、やっぱり夜、家を空けたくないものね。みんなのところはどう?

 あ、次の曲ね。Beatlesの“A Hard day's night”。お手紙は……おおっ、かなりの長文。埼玉県の主婦の方で、Aさん、でいいかな……ざっと読んでみると……。お子さんの幼稚園が、PTA役員のはじまりなのね。「子どもがどうすごしているか、少しでも多く接することができれば」「楽しいこと、うれしいことを一緒に感じられれば……」という気持ちから、役員に手を挙げたら、会長になってしまった、と。ふむ、そういう人、よくいます(笑)。動機がとてもポジティヴ。いいじゃないですか。こういう方が日本のPTAを明るくするのです。

 ところが……ありゃありゃ、ちょっと穏やかじゃないぞ。

■ 「だまくらかし」で役員に!


――園側の、できる範囲で、できるだけ……という言葉は最初だけ。次から次へとお仕事。家計の足しにとはじめたパートはやめざるをえず、寝る間もない日々が続いたことも……。確かに私立幼稚園が存続するのは大変なこと。講演会に同行をと頼まれ、行ってびっくり。翌年行われる市議会議員選挙。要するに立候補者のパーティ。嫌なヤツなのに握手された。それも夜です夜! 幼い子ども二人を、母に頼んで行ったわけ!

――中には陰口、特にどうしても欠席せざるをえないバザーのための委員会、かわって出た年上の副会長。「どうせ会長は何もしらないんだから、私が先に立ちます」ですって。何だそりゃ? 開けてみれば、やれ「売り上げいくら?」ばかり。理解不能!

――活動報告の場を作りたく、「PTAだより」なるものを発案したら、「やりたければ勝手にやれば! 私には時間もひまもない」という役員がほとんど。幼稚園に預けている間、お茶したりランチしたりの時間はあるのにね!

 いやあ、苦労されてます。

 ほんとこういう、「だまくらかし」で役員を決めるのはやめてほしいもんです。とはいえ、納得して、がんばったんですよね。「PTAだより」はすごく大事なのに、一緒に走ってくれるべき役員さんたちの理解を得られないなんて……辛い! 辛すぎる。自分だったら、と考えたら、ぞっとするよ。それでも、付け加えると、Aさんは、「助けてくれた人も多く、中にはいまでもつきあい続けている『真友』ができた」というから、心温まる部分もある。ほんと、そういう時の仲間って大事。

 あ、次の曲、Bob Dylanの“Political World”。そうそう、PTAって特定の政党や宗教を支持してはいけないというのが大原則なんだよね。いかに私立とはいえかなーり、困るよね。でも、前にも聞いたことがある。知り合いのPTAでも、県議がずっと会長をやっていてプチ票田にしちゃっているという話。さらに言うとキリスト教系・仏教系の学校のPTAの場合はどうなんだろう。保護者(母親)が、仏教婦人会に組織されるPTAもあるから、きっとこの問題は根が深いかも。

■ 「今年もまたやらされてるの?」


 北海道のTさん。PTA歴9年!

 すばらしい現場リポートを送ってくださいました。BGMは、BarbeeBoysで『くちにチャック』『でも!?しょうがない』を続けてどうぞ。

――川端様、お目にかけたい、女たちのバトルをっ。水を打ったように静まりかえる教室。ついさっきまで自己紹介と先生の談話で和やかだったのに、「それでは、PTAの委員の選出をしたいのですが……」と先生が切りだすやいなや、黙りこくるお母様たち。目線は下。簡単そうな役目の委員から決まっていくのですが、学級代表という役目はいつも残っていましたね。たいてい、クラスに一人二人いるやり手ババアのような押しの強いお母さんが「△△さん、いいんじゃない? やったら?」とか言って、気の優しそうな△△さんが「えっ、あの?……」なんていっているうちに、クラスじゅうから拍手がおこり「えっえっえっ」って△△さんが目を白黒させてるうちに決定してしまう。……ええ、PTAのお母さんたちって、血も涙もない、こんなときは仲良しもなにもない。まあ、そうよね、結局、他人よね、とやさぐれムードになってしまう時期でもありました。

――でもね、疑問に思います。こんなにみんながやりたがらないPTA活動って何なのでしょう?(いや一部、ホントいきいきしているお母さんもいらっしゃいます。それか、もう決定からパッと気持ちを切り替えて仕事をすすめる方も)そして、ホントにいるんです。「そんなのやらされているの」「えっ、今年もまたやらされている?」……しぶしぶ引き受けてブルーになっている方を追い込むバクダン発言母さんが! 引き受けない方は、委員をやってくれる方に「ご苦労さま」「ありがとう」の気持ちを持ってほしいです。

 Tさんのこの体験って、日本各地のあちこちで毎年繰り返されているんだろうなぁ。心痛むったら、ないです。ほんと、どうすりゃいいんだ。

 それと、やっぱり「やらされているの」はないよね。同じ学校のPTAでそんなこと言われた日にゃあ、たまんない。言った人の頭の中では、その場合「やらせている」のは誰ってことになっているんだろう。ぷんぷん。せめて「またやらせてごめんね」くらい言えないのかな。(笑)

 と怒ったり、苦笑したりしたところで……山口県宇部市で役員をしているSさんから、聞き捨てならないお手紙が。曲はHALCALIで“Baby Blue!”。
 

■ 4人目をあきらめました……


――わが子が通っている小学校は、1人の子どもにつき1回、PTA役員をすることになっています。うちは子ども3人。一人っ子のお母さんが、「うちはもう1回したからおわったよ!」と言うのを聞くと、正直言ってうらやましい。4人目を間違っても産みたくないって思った理由は、役員問題でこれ以上、頭を悩ませたくないから!! 役員の仕事に異常に燃えている人、それと反対にまったく役員をやらずにすごし、文句ばかり言う人……。毎年春がくるたびに憂ウツ。部長、会長が決まらず、くじで決めることになった時には、引き当てたらどうしようと、心臓がバクバク。もういやだ、いやだ!! 役員の仕事なんてぽーんと放り投げてしまいたい。これが本音です。

 つまりですよ……Sさんは、ひょっとすると4人目がいてもいいかも、と思っていたわけだよね。でも、PTAの役員のことで悩みたくないから、4人目はぜったいに嫌! なんて……。

 少子化ニッポンを明るく照らしてくれたかもしれないお母さんを、くじけさせるのがPTAだとしたら、それは責任重大! 厚生労働大臣、この件につき、ぜひ文部科学大臣と話し合いを持っていただきたい。まじで。

 なにかがおかしい、なにかが! どこか捻れてるぞ。PTAが明日のニッポンを壊しちゃったらどうするんですか!
 

■ 現代人は忙しいのだ


 ちょっとクールダウンしようか。

 仙台市のMさんは「書記はワープロさえできればいいから」と役員になったそうな。曲はSpank Happyで“USSR?”。

――会長・副会長の仕事を傍らで見ていて、「市や区のPTA連合会や、親善校との付き合いが多くないか?」と疑問を感じました。講演会や研修会、親善会への参加を募る手紙が頻繁に送られてくるのです。

――「学校から3名出席」とノルマのように書かれていれば、重い腰を上げて出かけます。けれど、その講演会が退職した大学教授による新聞記事の寄せ集めだった時には心からガッカリしました。そのうえ、講演会の運営に駆り出されるのは、当番校に指定された学校の役員たち。背中に赤ちゃんをおぶったまま受付をしているお母さんたちをみた時には、涙が出そうになりました。

――保護者どうしのコミュニケーションはとても大切ですが、悲しいことに、現代人は忙しすぎるのです。PTA活動の簡素化を願わずにはいられません。

 うんうん、本当にそうだ。ほんと、自分の経験からいっても、なんで! ってくらいたくさん、講演会や研修会、親善会への参加を募る手紙が来るよ。4月なんて、なにがなんだかわかんないまま、次から次へと目が回って死ぬかと思った。死ななくてよかった。ほんとに。

 別にそれだけじゃなくて、PTAは長い間かけていろいろなことに手を出してきたから、やっぱり今は保護者の「身の丈」を越えているところが多いよね。簡素化したい! 本当にしたいよ。でも、ただ簡素にすりゃあいいってもんでもないし……。

 ああっ、ふと気づいたら、もう紙幅は終わり。

 お別れの曲は、宇多田ヒカルで、『誰かの願いが叶うころ』。みんなの願いは同時には叶わないって、真実だよなあ。ところで、PTAって誰と誰のどんな願いでできているんだろう。

 次回は、また色合いの違うお便りを紹介しちゃう。チャオ!

著:川端裕人
(婦人公論 2007.8.22 掲載)

PDF版注釈
 この文書は、川端裕人が中央公論新社の「婦人公論」誌上にて、2007年4月より1年間にわたって連載した(文書作成時は連載中)、「みんなのPTAをさがして」をPDF化したものです。多くの人に読んでいただくために、ブログ・リヴァイアさん、日々のわざ にて公開することにしました。このままの形であれば、自由に複製・配布してくださってかまいません。
 なお、このPDF版は、入稿時の原稿を元にして、体裁を整えたものです。誤字脱字などの誤りは、多く残っており、また、細かな点で、雑誌掲載時とは違う部分があることはご承知置きください。
川端裕人
posted by Pさん at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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