川端裕人さんの「みんなのPTAを探して」(「婦人公論」連載:2007/4〜2008/3)のバックナンバーを「ブログ版」として公開しています。(著者公認)
 はじめていらっしゃった方は、まずは著者本人の「ごあいさつ」をお読みください。
管理人:Pさん
 

2008年05月23日

第23回 新人役員、1年目の総括!


本家関連エントリー
 最終回!(和田中のPTA廃止の話題も) (2008.3.24)
 婦人公論のPTA連載、最後の二回! とにかくこれでおしまい! (2008.5.23)


 定期的に「仲間」の顔を見て、一緒に仕事をするというのは、すごく健全なことだ。
 ましてや子どもの育ちと学びに直接貢献できるなら、なおさらのこと。
 この1年間、へろへろになりながらも、かつて一人だけで黙々と文章を書くだけだった日々に比べて格段に精神状態がよいのも事実なのだ。


■ 2007年を数字で振り返る


 連載も最後なので、自分自身の1年間のPTA活動の報告および感想。

 4月に役員の任期が始まってから「航海日誌」のつもりで、日々の活動を書き留めている。学校やその他の会合への「出動日数」や「活動時間」はほぼ正確にわかる。これまで基本的に、取材した内容をもとに連載をつないできたけれど、その根っこにある自分自身の「PTAの1年」を総括してみてもいいかな。
    
 まず、すべての始まりの4月。

 入学式、新入生の保護者の前で「PTAについての説明」をしたのが、いわば初仕事だった。時間はわずか1分で、具体的な活動内容について述べられるはずもなく、とにかくPTAとのファーストコンタクトを「いやな記憶」にしないために、スマイル、スマイルで「一緒にやっていきましょー」と述べたと記憶している。「参加は自由なんですよー」と言えないのは心苦しかったけれど。

 そして、PTAの実務の開始。

 実をいうと、4月、5月の記憶は「真っ白」だ。あまりよく覚えていない。年度替わりでただでさえ業務が多いのに、こちらはみな「新人」である(役員の「全とっかえ」はPTAでは珍しくない)。右も左もわからないところに、教育委員会やら、PTA連合やら、区役所やら、警察署やら、ありとあらゆる方面から書類が連日ばたばたと届いて、目を白黒させながら処理に追われた。

 メモによると、4月、始業式以降の平日は、たった1日をのぞいて、すべてPTAの仕事で出ている。ゴールデンウィークで一息ついたものの、5月も運営委員会や総会で忙しく、学校通いの日々だった。数字を挙げるなら、出動日数と活動時間は──

 4月 17日・40時間
 5月 14日・37時間

 といった具合。

 ぼく自身の感覚として、この数字は、子育て現役世代の親が、ボランティアで引き受けるものとしては重すぎる。なかには「この程度?」という感想もあるかもしれないけれど、ぼくがこれまで人に見せたかぎりでは100パーセント「こんなに??」と驚かれた。やった人にしかわからないことがあまりに多いとはいえ、せめて数値化できる部分だけはきちんと数字で示そうと思った次第。

 誤解なきように言っておくと、ぼくが特別、役員の中で働き者というわけではないし、ぼくが知っている他校の役員さんも、「うん、だいたいこんなもの」という反応が多い。少なくとも世田谷区や近隣地域では普通のことなのだと思う。

 今になって、当時の「真っ白」になってしまった心理を分析すると、あまりに知らないことばかりで「学校に顔を出さないと不安だった」というのが大きい。そして、実際に行ってみると、処理しなければならない仕事が山積みになっており、とにかく走り続けた2ヵ月だった。

 とはいえ、その2ヵ月が終わって楽になったかというと、それはまた別問題。

 6月 18日・30時間
 7月 15日・33時間
 8月 5日・23時間

 うーん、けっこう働いている。一体なにをしていたかというと……2学期以降の活動の仕込み、といったところ。たまたま大きな学校行事があったし、またPTA連合のスポーツ大会の「ブロック大会」開催担当でもあった。手探りしつつ、話し合い、準備を進めた。ちなみに、夏休み中の8月にもけっこう出ているのは、区の教育フォーラムだとか、地域の教育研修会といったものが、ここぞとばかりにあったから。

続きを読む
posted by Pさん at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第22回 「地域って何?」問題にいまのところの結論


本家関連エントリー
 婦人公論連載、あと2回!土曜日のパネルディスカッションのことも (2008.3.10)
 婦人公論のPTA連載、最後の二回! とにかくこれでおしまい! (2008.5.23)


 「地域」と言ったときに、思い浮かぶ顔が町会長であるよりも、
むしろ年齢がそれほど離れていない「子育ての先輩」であるほうが自然ではないだろうか。
 PTAでも、卒業した保護者が希望によって残留できる仕組みがあってもよい。


■ 秋津コミュニティの実践に学ぶ


 昨年の春、PTA役員として活動し始めた直後、「地域って何だろう」という思いにとらわれた。目下、PTAは地域活性化の鍵となる団体のひとつとして期待されている。「開かれた学校」「地域にねざした学校」「学社融合」といった言葉に象徴されるように、地域ぐるみで教育にかかわるビジョンがあって、そのときPTAは学校と地域を結ぶ懸け橋として機能しうる、という。

 理念としてはよくわかる。でも、具体的に誰と何をどうするのか、が見えない。

 とはいえ、そろそろいったん考えをまとめたい。連載のインタビューなどを通じて、秋津コミュニティ岸裕司さん、杉並区立和田中学校藤原和博校長ら(ともに地域をめぐる実践で知られる)の薫陶も受けているわけで、昨春よりずっと視野は広がっているはず。もやもやした部分を抱えつつも、一歩踏み出そう。
 
 まずはぼくにとって、「PTA・学校・地域」についての考察の原点ともいえる秋津コミュニティについて。岸裕司さんの『学校を基地に』(太郎次郎社)『「地域暮らし」宣言』(太郎次郎社エディタス)などを読むと、保護者と学校がうまくかみ合えば、実にすごいことが起きるのだと、驚き、また勇気づけられる。

 概念的にいえば、こんなかんじ。

 小学校の保護者たちが飼育小屋の新築などで学校に協力するうちに、「子縁」の絆を深めて、学校内で活動するクラブを作った。工作、パソコン、陶芸などなど。これらのクラブのメンバーは、やがて、学校のクラブ活動(つまり、子どもたちのクラブ)などにも指導者として加わり、自分自身の子どもが卒業した後も、当人は「卒業」せずに、学校に足しげく通うようになった。学校の中にPTA室のような「コミュニティルーム」もできた。「地域大運動会」や「大音楽祭」といった地域行事もそこから生まれ、なにより、小学校を「中心」であると明確に意識する地域共同体ができ上がった……。

 学校と保護者の関係から始まって、やがて「地域」の人たちまで入り込み、学校教育と生涯学習が表裏一体、渾然となって進んでいく。その楽しさ、痛快さ、凄み、といったらない。PTAとは「子どもの学びと育ちにかかわり、みずからも成長したいと願う大人」の会だとぼくは思っているので、1990年代に秋津で起きたことは、まさに「わが意を得たり」だ。

 最近のPTAの傾向として、前述のように、保護者と学校、地域が密接にかかわって教育を創り上げていこうという気運があるから、秋津コミュニティを彷彿させるPTA活動、地域活動は増えている。

 ぼくが住む世田谷区でも「地域とともに子どもを育てる教育」(世田谷区教育ビジョン)が教育施策の第一の柱とされており、事情は同じだ。

 なのに、なにかが違う。岸さんと話したり、秋津を訪ねても(工作クラブが活動する週末にお邪魔したことがある)、「もやもや」は解消されるどころか、ますます大きくなる。

続きを読む
posted by Pさん at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月28日

第21回 全国の多彩な取り組みを紹介!


本家関連エントリー
 「事例集」みたいな回です (2008.2.22)
 久々アップ、婦人公論連載の20回目、21回目 (2008.4.24)


■ 親が教室に入って活動


 前回お届けした今野雅裕さん(政策研究大学院大学副学長)との対談でも感じたのだが、一般論としてPTA活動は、今、活性化しているらしい。一昔前に「現役保護者」だった知人に現状を話すと、「すごく盛んなんだね」と妙に感心される。とはいえ、自分は今のPTAしか知らないからピンとこない。

 はたして、今、各地のPTAはどのように活性化しているのだろうか。また、それぞれの現場で、どんな問題に直面し、どのように解決しようとしているのか。今野さんが世田谷区の公立小学校PTAの代表者研修(校長、副校長、PTA役員が参加)のために作成した資料や、2006年に日本PTA全国協議会がまとめた「PTAの組織・運営の改善についての事例報告及びアンケート調査の結果」(これも実質的に今野さんの執筆)を読みつつ、これまでふれてきた事例もあわせ、改めて考えてみた。

 まず、背景には最近の教育行政の動向があるという。「開かれた学校」「地域にねざした学校」「学校支援ボランティア」「学社融合」「学校評議員」「学校評価」等々……。学校運営に親の参加を促す方向で、行政が動いている。

 連載で何度も言及した千葉県習志野市の秋津コミュニティはこの分野での先駆者といえる。また「サークル」の取材でお邪魔した、横浜市のすみれが丘小学校では、毎年100人以上の保護者が、授業の補助のために教室に入って活動していた。こういったことが、今や全国的に珍しくなくなっている。

 といった具合。おそらく事例は、枚挙にいとまがない。授業に直接かかわる学校へのソフト面での支援からはじまって、プラスアルファの「何か」を課外活動的に提供するものにいたるまで、実に多彩な活動をPTAが担っているわけで、正直「くらくら」してしまうのだ。

続きを読む
posted by Pさん at 23:18| Comment(5) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第20回 保護者の立場で研究者にぶつかってみた


本家関連エントリー
 婦人公論連載の新しいのがでてます (2008.2.10)
 久々アップ、婦人公論連載の20回目、21回目 (2008.4.24)


■ 講演会を聞いて


 政策研究大学院大学の副学長、今野雅裕さんは、日本のPTAを非常に広い視野でみてきた。1990年代に文部省の主任社会教育官を務めたのをきっかけに、全国のPTAのさまざまな事例紹介や、歴史研究などを通して、現場にたえず情報を提供してくださっている。岸裕司さんの「秋津コミュニティ」をいち早く取り上げ「全国区」にしたのも、客観的で資料性の高い『日本PTA50年の歩みと今後の展望』を著したのも今野さんだ。

 今年度、世田谷区の公立小学校の校長、副校長、PTA役員が集う「代表者研修」で、今野さんの講演を聞く機会があった。視野の広さ、前向きな姿勢に感銘を受け、直後、研究室まで押し掛けてお話を伺ってきた。「歴史と現状」ともに詳しい研究者と、実務の中にあって「調べて書く」ぼくが、意見を交わすのは有意義に違いないと、一方的に信じたがゆえ……。

続きを読む
posted by Pさん at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月27日

第19回 PTA草創期のお話


本家関連エントリー
 カウントダウン (2008.1.22)
 婦人公論PDF、草創期の話 (2008.2.27)


 昭和20年の終戦直後、学校も荒れ果てているし、道路で子どもがひどいかっこうして遊んでいるしでと、大人としては見ていられないような状況でした。これは親だけが一生懸命やっても、子どもを何とかするには教師も一緒にやらなくちゃならないということから、私どもが学校に近づいていきました。
――宮原喜美子(PTA研究340号)


 1971年より36年間にわたって、PTA研究を行ってきた全国PTA問題研究会の定期刊行物からの引用だ。終戦直後、「世田谷の母親代表」として、文部省でPTA審議委員を務めた宮原喜美子のインタビュー。この審議会で、文部省が全国の小中学校に配布した「参考規約」(48年10月)が起草されたから、宮原はいわば「PTAの母」だ。さらに、その後、世田谷区の小学校でPTA副会長を務め、インタビューではその時の様子が中心に語られている。つまり、日本で一番最初にPTAに出会い「参考規約」まで書いた人物によるPTA事始め。

 これが興味深い。彼女のPTAは、そもそも「校舎の建築」を役所に頼みに行くところから始まっている。さらに、雨が降ると校庭に水が溜まるので砂利を入れてほしい等々、行政と渡り合って教育環境の充実をはかる姿勢がはっきりしていた。教員側も会員としての意識を強く持っていて、会計や書記などの仕事を率先して行ったことも読み取れる。

 特筆すべきは、「玉ちゃんくらぶ」の存在。宮原が住んでいた世田谷区玉川地域の小中学校のPTA会員(保護者、教師、教頭、校長ら)が地元のお寺の本堂に集まって、その時々の「問題」について話し合う、学校を越え、保護者と教師の立場も越えた「市民PTA」活動だ。これが毎回50人を超える盛況で、PTAの役員改選について話し合った時など「学校のためにうんと働いてくれる人」よりも、「PTAの日常活動の世話をしてくれるのに適任かどうかを第一の基準にすべき」と結論している。21世紀のPTAでも、運営委員会で校長が「みなさん、学校のために集まっていただきありがとうございます」と連発するケースもあるわけで、さすがに出発点は意識が高いというべきか。ひょっとするとPTAの黄金時代は、まさに発足当時だったのかも。当時を知る人の「生の声」を聞きたくなる。

続きを読む
posted by Pさん at 21:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月13日

第18回 カワバタ私案を発表します


本家関連エントリー
 婦人公論連載「カワバタ私案」 (2008.1.9)
 佳境三部作(?)をアップします (2008.2.13)


 ぼくはPTAの潜在力に強い期待を抱きつつ、今のままだと「社会を悪くする」と懸念する。
そして、期待と懸念は実は表裏一体で、良い方向に進めるのも、悪い部分を正すのも、同時に取り組まねば何も変わらないと感じている。


■ 4箇条の「方針」


 読者の方から、新しい保育園の保護者組織を立ち上げたというお便りをいただいた。発足時の運営方針として次の4箇条を掲げたという。(筆者が要約)
  1. 会員世帯か否かを問わずすべての園児のための活動。「何かしてもらう」ではなく「何かをする」姿勢を大切にする。
  2. 楽しくない活動は、長続きしない。楽しいと思うことをやり、楽しくないことは、さっさとやめる。ただ、楽しくする努力は必要。
  3. できる人ができる範囲での活動。会員は皆それぞれの都合のなかで、活動に参加する。「できない」「やらない」ことを非難することなく、「やってくれた」ことに感謝の気持ちを持ちたい。
  4. 誰も何も強制されない。参加したいところに、参加したい人が参加する。参加したい企画がないと思う人は、ぜひ自分で企画を! いつも来る人も、たまにしか来られない人も、同じように笑顔で迎え入れるような雰囲気を大切にする。
 まさにわが意を得たり。

 こういうことを常に意識しつつ活動するのはとても大事だ。活動を進めるにあたって心に留めておくべき基本ともいえる。しかし、基本を押さえることの難しさときたら! 「楽しく」「できる人ができる範囲で」と言うけれど、今のPTAではどれだけ実現できているだろう。「会員世帯か否かを問わずすべての児童のため」という意識は希薄だし、「強制されない」はむしろ対極の発想だ。

 ちなみに、この保育園の保護者組織は、今のところ7〜8割の加入だという。「全員が入るわけではないが、過半数は超えている」という意味で、ぼくには実に好ましいさじ加減。「みんな一緒に!」を強要しないがゆえに、より活発で楽しく、子どもたちに豊かな体験を与えうる会になってほしい。心からエールを送る。

 じゃあ、おまえはどうなんだと、話は返ってくる。PTAはすでにある組織だから、ゼロから設計するわけにもいかない。けれど、ここまでいろいろ調べ、人と話し、考えるなかで、ある程度の方向性は見えてきた。だから、お便りに刺激を受けて、ぼくが考える「これからのPTAの形」をまとめておこう。

続きを読む
posted by Pさん at 23:06| Comment(4) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第17回 見習うべき先駆者たちの活動を紹介!


本家関連エントリー
 カワバタ私案なのですが……(婦人公論PTA連載18回)と書いておいて、実は17回目だったの巻 (2007.12.7)
 佳境三部作(?)をアップします (2008.2.13)


 募るのではなく、「やりたい人」が集結するのを待つ――。
 その姿勢が、PTA活動を身の丈に合ったものに留めているのではないか。


■ 原点に戻って


 新設の学校でゼロからPTAを作るとすると、どんなものになるだろう。いきなり大々的に始めるのも負担だから、まずは最低限、学級代表を選ぶことだ。そして、学級代表が集まって運営委員会を開く。歴史の古いPTAが発展させてきた、各種委員会、係などの業務については、とりあえずは気にしないで、必要が生じた時に人員を募ればいい。

 これは、ありうるひとつの理論的考察だが、同様の発想で最小構成のPTAを立ち上げた新設小学校が東京の江戸川区にあって、その成り立ちが近隣の小学校PTAにも注目されるようになった。仕事を持つ母親が多い昨今、煩雑になった組織ではPTA運営は立ち行かない。贅肉をそぎ落とした「原点」に戻るべきではないか、と。そして、平成17年度、学年委員会以外のすべての委員会を廃して「ボランティア制度」を導入する小学校PTAが現れた。江戸川区立松江小学校。生徒数は600人あまり。開校131年目で、親子3代どころか4代目の通学も珍しくない超伝統校だ。

続きを読む
posted by Pさん at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第16回 自分の意思で入会する、これが当たり前だ!


本家関連エントリー
 任意加入続報 (2007.11.22)
 佳境三部作(?)をアップします (2008.2.13)


 PTAの自動加入・強制加入はやはりPTAの病根だ。
 そのことが、多くの会員を悩ませている閉塞感や組織の肥大化などの根源だとも確信している。


■ 自発・自主が建前なのに


 PTAは自由な入退会ができる任意加入の団体だ(任意団体というとまた別の意味が出てくるから注意)。これは実際にどのように運営されているかにかかわらず、事実だ。われわれの社会において、本人の意思を問わず、自動的に、時に強制的に、ある団体に加入させられることは、特殊な条件下を除いて、ありえないし、あってはならない。ましてや、自発的に組織され、自主的に運営されるのが建前のPTAの入退会が、自由でないはずがない。疑問に思ったら、ご自分のところの役員に聞いてみるといい。もっとも、個々のPTAの役員は、この事実を知らないこともあるから、PTAに助言を与える立場にある教育委員会の社会教育主事に確認すれば、よりはっきりする。

 とはいえ、実際に任意加入をうたって活動しているPTAは少数派だ。この連載を始めてからさまざまなルートで「実例」が集まりつつあるから、それらを紹介しつつ、考える。

続きを読む
posted by Pさん at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月07日

第15回 PTAとタッグを組んだ校長先生だっている


本家関連エントリー
 PTAとタッグを組んだ校長先生もいる (2007.11.8)
 校長先生シリーズ (2008.2.6)


 和田中における藤原和博校長の取り組みは、学校(校長)とPTA(保護者側)の関係のモデルとして、とても刺激的で、また心強くもある。

■ 民間人校長にして改革者


 杉並区立和田中学校藤原和博校長は、今、日本で一番勢いのある教育者だ。リクルートを退職し、2003年に着任して以来、平凡な公立中学校をどのように改革したか、興味のある方は、著書『校長先生になろう!』(日経BP)や『公立校の逆襲』(朝日新聞社)をご一読のこと。特に前者は、全国の公立中学校に10年間で3000人の民間出身校長を誕生させて教育を変革すべきと説く挑発的な書。

 数々の改革の中でも、「地域本部の設立」が、PTAのありかたを考えるうえで示唆に富む。土曜日にボランティアが授業をしたり(土曜日寺子屋=ドテラ)、英検準2級(!)を目指す生徒のために特別授業を運営したり、校庭の芝生を維持管理したり……さまざまな事業を自律的な「本部」として行う。学校と保護者と地域が連携して、子育て、教育にかかわることが推奨される今日、はっきり筋の通ったやりかたがここにある。

 ちなみに、和田中の地域本部は、PTA会員OG、OBが中心になっている。では、藤原校長にとって「現役」はどう位置づけられるのか。そこに、PTAと校長の良き関係についてのヒントがあるにちがいない。

 まずは、ぼくにとって切実な疑問から。

続きを読む
posted by Pさん at 06:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第14回 校長先生にとって親は「怖い」存在なの?


本家関連エントリー
 婦人公論14回目、校長先生について (2007.10.22)
 校長先生シリーズ (2008.2.6)


 校長にとって、PTAって何だろうと考えさせられる。
ただの便利屋さんなのかパートナーなのか。
校長はPTAを生かしもすれば、殺しもする。


■ PTAは学校のヨメ?


 今春から都内の小学校でPTA会長を務める友人が愚痴る。「うちの校長、運営委員会で、学校のためにありがとうなんて言うんだよ。子どものためで、学校のためじゃない! むかつく……」。

 なにかとPTA活動に口を出す校長で、あれをしろこれをしろ、規約がおかしい、ほかの学校の前で恥ずかしい、とPTA役員を「学校の嫁」扱いして顎で使う態度を取る。保護者による奉仕活動は当たり前とされ、「PTAさん、やって」と突然言われる。

 別の学校のPTAで、アンケート調査をめぐって校長と広報委員会が対立した例も聞いた。子どもたちに人気のなかった行事として「マラソン大会」という結果を掲載しようとしたところ、校長が異議を唱えた。PTA広報を学校の広報と勘違いして、一字一句にいたるまでコントロールしたい欲望があるのだろうか。

 こういう話を聞いていると、校長にとって、PTAって何だろうと考えさせられる。ただの便利屋さんなのかパートナーなのか。校長はPTAを生かしもすれば、殺しもする。多くの場合、校長もPTA会員だが、だからといって決して「平等」ではないし、同じ方角を向いているわけでもない。

 校長にとってPTAとは?
 これはかなり切実な問いなのだ。

続きを読む
posted by Pさん at 06:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月13日

第10回 サル会員と人間会員、あなたはどっち?


本家関連エントリー
 婦人公論、プレジデントファミリー (2007.9.22)
 婦人公論連載のPDF版。9回めと10回めを一挙公開 (2008.1.11)


 たしかに、PTA会員の中には、活動の意義をまったく理解しようとせず、文句ばっかり言う人や、耳をかしてくれない人がいる。
 でもね、ぼくはそういう人たちに対してあまり強いことは言えないなあといつも感じているんだ。


■ PTA不要論者です


 みんな、子どもが家にいる夏休み、エンジョイしてる? PTAライフはほっと一息? ぼくは、来学期の活動の仕込み中。あんなこと、こんなことやる予定。

 さて、今回もみんなのお便りを紹介するよ。ちょっと真面目な議論もするから、バッハの『ゴルトベルク変奏曲』でもずっと流して、心をクールに保とう。まずは、山口県下関市のTRさんからのお便りではじめようか。
 
――PTAは家庭環境おかまいなしです。私は離婚し、親も近くに住んでいないため私以外に子どもを見てくれる人はいません……それなのにPTAの話し合いはいつも夜7時から。7時といえば、子どもの風呂にご飯にとドタバタしている時間帯。とてもじゃないけど無理なので役員にはなれません。

――どうしてPTAって90パーセント以上が母親なのでしょう。川端さんのようにPTAに参加する父親が私の周りにはいません。男の人はPTAに参加できない理由を「仕事」にできるが、女の人は認めてもらえません。

――誰かPTAをなくしてくれ! と心の底から願っています。……以上、何もせずに腹ばかり立てている母でした。

 TRさんは、PTA不要論者。そして、おまけに「何もしていない」人なんだね。

 そういう人の意見は貴重。PTA会員だからある程度、活動のことは知っており、なおかつ「中の人」になりきっていない。つまり、客観的な意見が期待できる。TRさんが所属するPTAの活動表を送ってくれて、彼女の目から見て必要のないものをリストアップしてくれたから、それを見ていこう。

 まずね、ここのPTA会員は、かならず厚生部・環境部・保体部・広報部・執行部のどこかに属することになるんだって。入会は強制であるだけでなく、部の活動(委員会活動)も全員参加なんだね。

 TRさんが不要と思うPTA活動とは何か……。まず、厚生部のバザー。収益は文化活動の企画・運営などに使われるということなのだけれど、「何に使っているのか不明」と感じているそう。

 また、環境部による校内清掃の企画・運営、遊具の安全点検は、そもそも「学校の仕事」なんじゃないかというご意見。また、夏祭りの見回り、アルミ缶整理、児童の校外生活に関することは「家庭の仕事」だろうというのね。なるほど。

 広報部による、広報誌の発刊も、「学校からも新聞が発行されている」という理由で不要。PTA執行部の活動のいっさい(PTA活動の企画・運営)も「学校は保護者を巻きこみたい仕事があれば、その都度、声を掛ければいい」という理由で必要ないとばっさり切り捨てちゃう。

 さて、どんなもんでしょうか。PTAの役員や委員をやったことがある人は、抵抗ある? あるいは、そうだそうだ! と思う? いずれにしても、頭をクールにしてよく読み込んでみると、PTAのどういう部分が「いらない」とされているのか見えてくる。

 つまりね、TRさんにとって、PTAとは学校の支援団体で、いわば便利屋さんみたいに奉仕するものだというふうに見えているみたい。この連載を読んでくれている人なら、本来はそうじゃないことはわかってくれると思うのだけれど、現実には「PTA=お世話になっている学校に協力する団体」という考え方は強いのだろうね。

 たとえば、PTA広報誌。本来PTA独自の問題意識、興味関心に基づいて編集されるもので、PTA活動の生命線と言っていいほど大事なもののはず。でも、もしそれが学校が編集する学校だよりと変わらない内容なら、たしかに「いらない」と思われても仕方ないんだ。

 TRさんの意見は、別に極端だったり、特別だったりするものじゃない。ぼくの経験から言っても、似たようなことを考えている人はたくさんいる。ちょっと離れたところからは、こう見えるんだと心に留めておいたほうがいい。

続きを読む
posted by Pさん at 00:11| Comment(3) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第9回 寄せられたお便りをDJ・ヒロが紹介!


本家関連エントリー
 PTA連載、今回はお便り紹介です (2007.8.9)
 婦人公論連載のPDF版。9回めと10回めを一挙公開 (2008.1.11)


 「疑問に思います。こんなにみんながやりたがらないPTA活動って何なのでしょう?」
 いやあ、みなさん、苦労されてます。ほんと、どうすりゃいいんだ。


■ 夜に歓送迎会! 会費は自腹!


 さて、2週に1度の「みんなのPTAを探して」の時間。きょうは趣向を変えて、読者のみなさんから寄せられた手紙を紹介してみようか。せっかくだから、iTunesで音楽でもかけながらね。

 最初の曲は、『PTA〜光のネットワーク〜』。奥田民生ユニコーン時代に歌っていたやつね。これ、いい曲なんだよねえ。胸にしみる。

 で、目の前には、みなさまからいただいた手紙やメールの束があるわけです。読んでます。読んでいますとも。中には涙なしには読めないものもあれば、大笑いさせてもらえるものも。

 でもさー、みなさん、一言で言って、愚痴が多いぞー。

 いえいえ、それが悪いってわけじゃなくて……その気持ちよくわかる。ぼくだって、愚痴のひとつやふたつ、しょっちゅう言ってる。だから、今回は徹底的に愚痴を聞いちゃおう。

 まずは、京都市のRさん。役員を務める友人ママに、やってくれない? と頼まれて、「子どもが低学年のうちにやっておけば……」と考え、ついオーケーしてしまったのね。

 うんうん、わかる。低学年のうちにやっておけば……という気持ちで、役員や委員を引き受ける人って多いんだ。そして、それは決して間違いじゃない。そのことでPTAに目覚めて、何度も役員をしちゃうような人もいるわけだし。

 でもさ、Rさんは、ちょっとしたカルチャーショックに出会っちゃったみたいなんだよね。

――さっそく「歓送迎会」で疑問が……。会費3000円自腹、夜の集まりなので、子連れ参加NG。えっっ??? 自腹っすか? 歓迎会なんじゃぁ……いやいやこの際、3000円の自腹は自分の飲み食いなんだし仕方あるまい。

――しかし、子どもどこに預けたんだ? 子どもありきのPTAでこれはちょっと……(中略)……今度は校長先生の退職に伴いホテルで送迎会! もちろん子連れはNG、自腹なんと1万円! オーマイゴッド! 私の神様! 私の選択は間違っていたんでしょうか?? これには新人役員もドン引きです。

 うーん、なるほどー。

 自腹もきついし、夜預けるのもきついよね。Rさんは、「自腹当然、『子連れNGなお集まりあり』なPTAってうちだけ?」という疑問を投げかけているんだけど、ぼく自身の経験では、歓送迎会と名のつくものはやはり自腹が多いよ。自分のお腹に入る飲食代とはいえ、それが続くと、さすがに困るよね。それよりも、夜の集まりは、現役子育て世代としては、本当にきつい。子どもが低学年くらいだと、やっぱり夜、家を空けたくないものね。みんなのところはどう?

 あ、次の曲ね。Beatlesの“A Hard day's night”。お手紙は……おおっ、かなりの長文。埼玉県の主婦の方で、Aさん、でいいかな……ざっと読んでみると……。お子さんの幼稚園が、PTA役員のはじまりなのね。「子どもがどうすごしているか、少しでも多く接することができれば」「楽しいこと、うれしいことを一緒に感じられれば……」という気持ちから、役員に手を挙げたら、会長になってしまった、と。ふむ、そういう人、よくいます(笑)。動機がとてもポジティヴ。いいじゃないですか。こういう方が日本のPTAを明るくするのです。

 ところが……ありゃありゃ、ちょっと穏やかじゃないぞ。

続きを読む
posted by Pさん at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月20日

第12回 防犯PTAはこのままでいいの?


本家関連エントリー
 婦人公論連載、芹沢一也さんとの対談 (2007.9.23)
 婦人公論連載PDF、12回目、芹沢一也さんとの対話。 (2007.12.20)


 今の社会のセキュリティ志向は「子どもを護れ」というコンセンサスのもとに深まってきた。そして、その強力な磁場を形成する中心にいるのが子を持つ親だと自覚したい。

■ 子どもの犯罪被害は減少傾向


犯罪不安社会――誰もが「不審者」?』(光文社新書)で、著者の一人、芹沢一也は、PTAが防犯対策を推し進めるさまを「親睦団体から危機管理団体へと変貌」と表現した。たしかに、ぼくが住む世田谷区の区立小学校PTAの多くが、ここ数年のうちに「防犯パトロール」の仕組みを整備した。背景には「治安が悪化している」という実感がある。

 この「実感」は本当に正しいのか。警察統計によると、たしかに2000年から犯罪の「認知件数」が飛躍的に増えている。しかし、それはあくまで、小さな事件でも受け付ける警察の方針転換によるものだという。また「小学生が殺される」人数についても、「増えている」という印象とは裏腹に、長期的に減少傾向にあることがはっきり示される。もちろん「一件でも起こってほしくない」というのは親の共通の願いだが、はるかに多い交通事故死や虐待死よりもこちらがクローズアップされるのはなぜだろう。

 芹沢は言う。

現実にはほとんど起こらない『他人による子どもの殺害』を防ぐために、私たちはセキュリティを社会の隅々にまで浸透させようとしている……単なるイメージや感情に基づいてセキュリティが強化されるなら、その時生まれる社会は結局のところ、誰にとっても生き難い息苦しい社会でしかない……。

 ぼくには非常に納得できる。何かを完全に排除しようとすると、どこかで無理が生じて副作用が大きくなる。ぼくが心配でならないのは、他人を信じるなと教え込まれて育つ子どもたちがどんな社会を創るのか、ということ。

 芹沢を訪ね、意見を聞いた。

続きを読む
posted by Pさん at 22:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月05日

第11回 学校と地域を結んだ大先輩に聞く


本家関連エントリー
 岸裕司さんとの対話 (2007.9.10)
 婦人公論第11回「岸裕司さんとの対話」PDF版 (2007.12.5)


 「決断してやってみると、何かにぶつかるし、違和感をもつし、でもそれが経験だ」という考えには、本当に意を強くする。いろいろ経験できるからPTAなのであって、結果、寛容になれるなら、ぼくたちはひとつ賢くなったのだと思う。

■ 小学校を拠点に町づくり


 ゆーさんこと岸裕司さんは「大きな人」だ。いつも笑顔で周囲をふんわり包んでしまう。ぼくにとってはPTAの大先輩でもあって、著書『学校を基地に「お父さんの」まちづくり――元気コミュニティ! 秋津』(太郎次郎社、1999年)で描かれる「PTAから始まった町づくり」には、これまで何度も力づけられた。

 舞台は、千葉県習志野市秋津。2400世帯のニュータウンの住民たちが、小学校に拠点をもつ生涯学習団体「秋津コミュニティ」を立ち上げる。各種サークルが登録し(現在35団体)、余裕教室などを使って活動するだけでなく、学校に拠点がある「地の利」を活かし、学校のさまざまなクラブ活動にも指導者として参加することがある(パソコンクラブやスポーツクラブ等)。また、「小学校と地域の大運動会」「秋津音楽亭」(住民による音楽会)等、学校と地域を結ぶ活動も手がけている。20年にわたり何歩も先を行く「学校と地域の連携」(ゆーさんの言葉で学社融合)を実践してきた。そして、ここにいたるきっかけが、86年、ゆーさん自身もかかわった小学校PTAの改革だった。

 ゆーさんとは『「パパ権」宣言!』(大月書店、2006年)という本を一緒に作った縁で、何度もお会いしている。いつでも聞けると思うとつい聞かずにすませることも多く、それはもったいないと反省。お話を聞きに行ってきた。

続きを読む
posted by Pさん at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月20日

第13回 PTAの全国研究大会をレポートします!


本家関連エントリー
 日Pの全国研究大会について書きました (2007.10.9)
 みんなが悩んでいる…… (2007.11.20)


 PTAは本当に必要か? という問い。ぼくも日々考えている。
 これは、出席せねばなるまいと思い、彦根に行ってきた。


■ 初めての「日P」直接体験


 去る8月24日(金)・25日(土)、滋賀県各地の会場で「第55回日本PTA全国研究大会・滋賀びわこ大会」が開催された。主催は社団法人日本PTA全国協議会(日P)、近畿ブロックPTA協議会、滋賀県PTA連絡協議会。24日に彦根市で行われた第一分科会(組織・運営)のテーマは「どうする? どうなる! PTA〜カタチだけや、嫌々するPTAから卒業しよう」で、事前公開されていたウェブでの説明を抜粋すると……

 現状と課題――それぞれのPTAでは役員選任の困難さ、事業のマンネリ化、財政難、会員の参画意識の低下、学校との脆弱な連携など、組織のあり方や運営方法で様々な課題を抱え続けています。しかも、役員交代などで組織が一新されれば、課題解決の糸口を探るまでもなく、根本的かつ継続的な問題解決に至ったケースはきわめて稀です。

 討議の視点――内側(単位PTA)からの改革はもちろんですが、外側(教育委員会や学校、地域)からの改革と併行することで、実効性が高まると考えています。第一分科会では誤解やタブーを怖れず、「PTAは本当に必要か?」という逆説的な視点も尊重しつつ、先進事例の紹介やパネルディスカッションを通して、解決の糸口を探っていく。

 とのことだ。

 PTAは本当に必要か? という問い。ぼくも日々考えている。これは、出席せねばなるまいと思い、彦根に行ってきた。ぼくにとって、日Pについて初めての直接体験でもある。これはその報告。

続きを読む
posted by Pさん at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月07日

第8回 変えたいこと、いっぱいあるんです!


本家関連エントリー
 変えたいこと、いっぱいあるんです (2007.7.21)
 第8回変えたいこと、いっぱいあるんです! (2007.11.7)


 ぼく自身、今のPTAが完璧だと思っているはずもなく、「今のまま」ならやめちまえ! と言いたくなる瞬間すらしょっちゅうある。

■ 魂の叫びを聞いてくれ


 さて、しばらく、我ながらお行儀よく書いてきた。読者からの投書で、「PTAのいい面ばかりではなく、マイナスの面にも目を向けるべき」なんて意見が来るほど。正直、嬉しい。

 ぼく自身、今のPTAが完璧だと思っているはずもなく、「今のまま」ならやめちまえ!と言いたくなる瞬間すらしょっちゅうある。だから、そろそろ一度くらい魂の叫びってやつをやっておかねば。ぼくが今のPTAで、窒息しそうになっていること。今すぐにでも変わってほしい(変えたい)こと、よくわからずもやもやしていること……などなど。

 最初に言っておくけれど、ぼくはそれらがすぐに変わるとも、すべて変えられるとも思っていない。「すぐに、すべて」実現するということは、PTAの本質である多様な価値観を持った人たちとの話し合いをすっ飛ばすことにもなりかねない。もっとも、そこまで心配するのは気が早いか。話し合うためには、まず誰かが意見を述べなければならないわけで、ぼくがその「誰か」になろうとしているのだと理解して頂ければさいわい。

続きを読む
posted by Pさん at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

第7回  役員選びは一大イベントなのだ!


本家関連エントリー
 役員選びは一大イベントなのだ (2007.7.8)
 第7回、役員選びは一大イベントなのだ (2007.11.1)


 投書を下さった兵庫県のAさんの体験。

 ある日、家に帰ったら電話が鳴って、「小学校の最後の六年生で当たりました」と相手が言う。いったい何が当たったのかと問うと「これまで一度もPTAの役をしていないのでお願いします」。店があるので出られないと主張しても、「もう決まったので学校で言ってほしい」とのこと。学校に行くとすぐに役決めで、広報委員長になってしまった。Aさんは結果的には広報の活動を楽しまれたそうだが、とはいえ最初に電話がかかってきてから役決めに至るまでの経緯にはさぞ驚かされたことだろう。

 あるいは、ぼくがつい何ヶ月か前、息子のフットサル教室で練習を見ている時、背後から耳に飛び込んできた会話。

「選ばれちゃったのよ……書記だって」
「ぎゃー、まじでー、逃げられないわけ? 小さい子、いるのに、ひどくない?」
「それ、理由になんないって」
「でもさ、なんで推薦されちゃったの?」
「そんなの分かんない!」

 それをぼくの隣で一緒に聞き耳を立てていた、お母さん友達(隣区在住)は、はあっと大きなため息をついて、「目立ったら推薦されちゃうから地味にしてきたけど、ポイントが低いんだよねぇ。来年はやばいなあ」とぼやき出した……。

 これらは全部、PTAの役員選出をめぐる諸々のこと。

 役員決めというのは一大イベントであって、役員選考委員会はそれのみに特化した委員会だ。「役員のなり手がなかなかいない」というのは、日本各地のPTAでほぼ普遍的なテーマのようだから、この委員会の役割は重く、また時に困難だ。

続きを読む
posted by Pさん at 20:58| Comment(21) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月29日

第6回 不審者対策、どうしてますか?


本家関連エントリー
 不審者対策、どうしてますか。 (2007.6.22)
 第6回、不審者対策どうしていますか (2007.10.30)


 懸念するのは、小さい頃から「他人を信じるな」と言われて育った子らがつくる未来の社会はどんなふうだろう、ということ。
 すごく心配だ……。


■ PTAの「イベント屋」


 文化厚生委員会について述べるのに、最初に注釈しておかなければならないのは、「厚生」の部分。戦後の貧しい時期に立ち上がった初期のPTAでは、子どもの生活環境の向上がひとつの大きなテーマだった。「PTAなくして、学校給食なし」とも言われ、多くのPTAに独立した厚生委員会、給食委員会、さらには、保健委員会、衛生委員会といったものが置かれていた。なのに、完全給食が実施された後はいつか活動の中での重要度が落ちてしまったのかもしれない。世田谷区の場合、今では文化厚生委員会として「厚生」の名が残っているのはまだいい方で、ぼくの属するPTAには組織図のどこを見ても「厚生」の文字はない。

 今とりあげるのは「文化厚生」というより、むしろ「文化」委員会。「厚生」系の話は、いずれ機会があったら。

 文化委員会には、異称がたくさんある。文化教養委員会、教養委員会、成人教育委員会、家庭教育委員会……それぞれ力点が微妙に違うかもしれないが、基本的にはやっていることは同じだ。
 ぼく自身、この委員会活動をしたことがあり、それをとても楽しんだ。だから、ああだこうだと言いたいことがたくさんあるのだが、蘊蓄を傾ける紙幅はない。

 あえてひとことで言ってしまえば、文化委員会は「イベント屋」だ。少なくとも、そのように思われているし、それを裏付けるような活動をしている。

 具体的には、講演会やワークショップなど開いて、会員の学習の機会をつくる。教育や子育てをめぐるテーマで講師を招いての講演はごく標準的で、「厚生」の流れを汲む給食試食会も多く行われている。それに加えてミニコンサートや、親子サッカー教室、地元のシニアグループによる「親子竹とんぼ教室」といった、親子コミュニケーションに資するイベントもたくさんある。予算を抑えたければ、会員内で講師を探したり、相互学習をするのも当然アリだ。

 こういったことを文化委員会は、自分たちで企画して、実現する。ずっと会いたかった講師を呼べるかもしれないし、学校や教育をめぐる長年の謎が解明できるかもしれない。会員の学習になったり、PTAの絆が強まったりすることであれば、なんだってできてしまう。

 ね、楽しそうじゃないですか?

 そして、これだけ楽しげな文化委員会こそ、実を言えばPTAの王道だ。つまり、PTAとは、文化委員会なのである。
 などと力説すると、PTAを知る人には驚かれる。一方、知らない人には……どのみち、ちんぷんかんぷんだ。

 でも、PTAの本来の目的を思い出してほしい。「(会員が)お互いに学習しあい、その学習に基づいた活動をいっしょに進め、よい保護者、よい教師になるように努める」、そして「その成果を家庭教育や学校教育に役立てると共に、お互いの協力によって、地域社会の環境づくりや子どもの校外生活の充実のための活動を活発に進める」と世田谷区の「しおり」には書いてあったではないか。

 一般に、PTAとは「子どものため何かをする」団体だと思われている。そして、それは正しい。この「目的」の後半部分がそれに相当する。けれど、前半部がないと後半部は成立しないことが、しばしば忘れられている。「子どものため」で思考停止してしまい、毎年、同じことを繰り返すだけなら、むしろ危険だ。
 だから、文化委員会が大事になる。あえて、PTAとは文化委員会なのだと力説してみるのは、その大事な部分を常に意識させてくれるからだ。

 ただ、最近、気になっていることがある。ぼくが知る範囲内で、その活動が次第に「年に三回の家庭教育学級の開催」といったふうに、「決めごと」になりつつあることだ。

 ちなみに、家庭教育とは学校教育に対する概念で、保護者が家庭で行う教育のことだ。つまり「よい保護者」になるために行うのが、家庭教育学級だ。さっき挙げた活動例はこの枠内にだいたい収まる。ここでは、教師が「よい教師」になるための事業は、PTAにはまったく期待されていない。これも少し寂しい。現在、教員がPTAに積極的に参加するのは難しいのは重々承知の上で、家庭教育の枠を越えて「相互の学習」が実現することはないのかなあ、と考えさせられる。

続きを読む
posted by Pさん at 21:51| Comment(1) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月26日

第5回 学級PTAの潜在力を思い出そう


本家関連エントリー
 PTA連載5回目学級PTAのこと (2007.6.7)
 第5回「学級PTAの潜在力を思い出そう」 (2007.10.26)


 枝葉をそぎ落としてエッセンスだけの単純なPTAを考えてみると──、
 それは、学級PTAと役員だけ、あるいは役員すらおかず、学年・学級委員会だけ、という構成になるだろう。学年・学級委員は、PTAの必要欠くべからざる要素であって、個々の会員とPTA全体との直接的なパイプ役だ。


■ 代表的な6つの委員会


 「PTAの謎」解明プロジェクトは続く。今回からは代表的な委員会を見ていく。どんな委員会があるかはPTAによるのだけれど、そこは前回紹介した「PTAのしおり──みんなで学ぶPTA」(世田谷区立小学校PTA連合協議会と教育委員会発行)の組織図例に則る。

 学年・学級委員、広報委員、文化厚生委員、校外委員会、役員選出委員会の6つ。これらは、多くの場合、クラスから一人ずつ選ばれて、規約で定められた仕事にあたる。委員長、副委員長、時には書記、会計といった役職もあって、それぞれ任された範囲で、独立性の高い活動をする。ちなみに、各委員長まで含めて役員とするPTAもあり、その場合は、会長・副会長・書記・会計のいわゆる四役は、本部役員と呼ばれる。
 
 委員会と役員(本部役員)の関係は、単純に上下ではなく、やはり「横」だ。役員は各委員会の活動を統括・調整する立場にあるのだが、単純に役員が管理するわけではなく、別の仕組みがある。委員会について語るには、まずそのあたりに触れておかねばならない。

続きを読む
posted by Pさん at 23:53| Comment(6) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

第4回 役員はえらいわけじゃない


本家関連エントリー
 役員はえらくない! PTA連載第四回 (2007.5.23)
 第4回役員はえらいわけじゃない (2007.10.20)

 役員は「横の団体」であるPTAを、それこそ横横無尽に移動する。学級PTAに「個々の会員」として参加したり、運営委員会では司会を務めたり、外の団体の前では会長やら副会長やらとして「代表」になったりしつつ、PTAが「個々の会員が主役」であれるよう、風通しよく運営する責任を負っている。

■ 縦じゃなくて横


 PTAってなにをするところ?

 これだけ「有名」なのに、今ひとつ知られていないように思える。自分がやっていることを「未体験」や「無関心」な人に説明しようとしてもギャップが大きすぎて困難を感じることが多い。連載第1回に引用したぼくのブログのコメントにも、「得体の知れないオトナの事情漂う秘密組織」なんてものがあったっけ。

 じゃあ、本当のところなにをするところ? どんな組織なの? といったことを、「未体験」「無関心」だった人でも分かるような水準で解明するのも、本連載の主たる目的のひとつだ。こういう素朴な問いに答えようとすれば、「経験者」や「経験中」の人にも必ず新しい発見がある。ぼく自身「経験中」の身として、勉強しつつ書いている。
 というわけで、今回は「PTA構造篇」。各論に入る前に、組織図などをひっぱりだして、じっくりと眺めてみたい。
 なぜかというと──、それが実に感動的なものだから、だ。「強制加入問題」について文句たらたらなぼくが、ガツンと一発、頭を殴られたような衝撃を受け、「PTAいいじゃん」と思える理由のひとつが、ここに凝縮されている。

 例によって引用もとは、世田谷区の小学校PTA連合協議会と教育委員会が発行している「PTAのしおり――みんなで学ぶPTA」。世田谷区の公立小学校のに配布されるもので、本当によくできた小冊子だ。
 じっと見てほしい。この組織図、おもしろい部分がある。会社やら、多くの組織図との違いにお気づきだろうか。

 ひとことで言うなら、
「縦じゃなくて横」ということだ。

 縦でも横でも、どっちでもいい?

 でも、この図を作成した人は、どうでもよくはなかったらしく、縦にした方があきらかに書きやすそうなのを、少々きゅうくつにしてまで横にしてある。
 これについて、この小冊子ではこう注釈する。

上の組織図を見てもわかるように、PTAの組織や運営の基盤は、会員一人ひとりにあります。

 PTAが徹底して民主的な組織であり、個々の会員が「主役」であることを強調しているのだ。

 左端にいるPTA会員、1年から6年までの各学級代表や各委員会の委員、そして、運営委員会、総会までが横並びになる。なにかと偉そうなイメージのあるPTA会長ら役員は、運営委員会と総会の間にぶら下がっている始末。

 ここまで、会員が相互に平等であることを強調する組織は珍しいのではないだろうか。

続きを読む
posted by Pさん at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。